軍拡競争と複合危機の悪循環
市民社会が軍縮公論化に乗り出すべき
日本が反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有と5年以内に防衛費2倍引き上げを骨子とする新たな国家安全保障戦略を採択したことを受け、韓国でも様々な声があがっている。まず尹錫悦(ユン・ソクヨル) 大統領は「頭上でミサイルが飛び交い、核が飛んでくるかもしれないのに、それを防ぐのは容易ではない」とし、これに対応するための日本の軍備増強について「誰もとやかく言えないだろう」と述べた。
一方、韓国内の中道・革新陣営では日本の軍事大国化とこれを擁護する尹錫悦政権に対して批判の声を高めている。日本が平和憲法と専守防衛の原則を無視し、攻撃能力の保有を試みること自体が問題だという主張だ。野蛮な植民統治と慰安婦および強制徴用など歴史問題の解決に消極的な日本を見てきた韓国国民にとって、日本の軍事大国化について不快感を抱くのは当然といえる。また、日本は有事の際、韓国の同意なしに北朝鮮を攻撃できるという立場を示しているが、これは北朝鮮を領土と明示した大韓民国憲法を無視するものだという批判もある。
現実的にはさらに重要な問題もある。世界のほとんどの国は自衛力を求めており、その要となるのは抑止力であり、抑止力を強化するためには攻撃力を備えなければならないという立場だ。こうした傾向は米中戦略競争の激化、ロシアのウクライナ侵攻と戦争の長期化、そして北朝鮮の核武力の強化などと相まってさらに強まっている。韓国もその先頭グループにいる。米国の軍事力評価機関「グローバル・ファイヤーパワー」によると、韓国は2021年から3年連続で世界6位の軍事大国となっている。一方、日本は今年の順位が8位に落ちた。韓国が日本の再武装を批判することが、日本に不快感を抱かせるかもしれない理由だ。
http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/45770.html
[コラム]日本の軍事大国化をめぐる不都合な真実
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