政府は、防衛費の増額に際し、防衛省以外の予算を計上する「北大西洋条約機構(NATO)基準」を参考にした算定方法を導入する検討に入った。海上保安庁などの安全保障に関連する予算を防衛関係費として一体的に位置付けるためだ。NATO加盟国は対国内総生産(GDP)比2%以上を目標としており、政府は新基準に切り替え、5年間で同水準を目指す。
複数の政府関係者が明らかにした。NATOが掲げるGDP比2%を目標とするには、同様の基準を参考にするのが妥当と判断した。NATOは、加盟国の国防努力を比較するため、GDP比の対象となる「国防関係支出」に含める項目を定めている。日本の防衛費には含まれない主な項目には、海保に相当する沿岸警備隊や国連平和維持活動(PKO)関連費、退役軍人らの年金などがある。
この基準を2022年度当初予算に適用すると、防衛費(約5・4兆円)に、海保予算(約2200億円)や旧軍人遺族などへの恩給費(約1100億円)などが加わり、防衛関係費は約6・1兆円となる。GDP比は1・08%だ。補正予算を含む21年度予算でみると、海保予算(約2600億円)などを加えた防衛関係費は約6・9兆円で、GDP比1・24%となる。
政府は、年4兆円を超える科学技術関係予算のあり方も見直す方向だ。関係予算のうち、文部科学、経済産業両省が6割強を占め、防衛省は4%だけだ。NATO基準では、軍事部分が明確な研究開発は国防関係支出として扱う。政府は、他省庁の所管でも、宇宙分野など防衛利用が見込める予算を防衛関係費として計上できないかどうかの議論を本格化させる。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220909-OYT1T50349/
防衛費、海保予算も含めた算定方法の導入検討へ…「NATO基準」参考にGDP2%に
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